子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾
vol.10 子どもと一緒に大いに悩もう
「どうしていいか、わからない」
子どもが暗い顔をして訴えます。さあ困った。「なにかあったら、なんでも相談してね」確かにそういった記憶はあるけれど、そんなことを軽々しく口走ったことを、ちょっとだけ後悔する京子ママ。
なぜって?だってどうすればいいのか、京子ママにもさっぱりわからないのですから。でも目の前には涙をいっぱい浮かべた子どもが…。とにかくこの子のために、何か答えを出さなければ、と自信のなさを子どもに悟られないように、いかにも余裕のあるふりをしながら、
「こうしたらいいよ!」
ところが子どもの顔は相変わらず暗いまま。「しまった」と思いつつも、
「こうすればいいでしょ!」と、さらに意見を積み重ねる京子ママ、ますます黙り込む子ども…。
さあ、ここで困り果てたお母さんに一つアドバイス。
"子どもは答えそのものが欲しい場合もあるけれど、それよりもっと欲しいのは一緒に悩んでくれる人"
そもそも、子どもが必死に考えてもどうしようもないことは、大人にとってもそんなにカンタンに解決できないはず。それをあたかもカンタンなことのようにいわれると、子どもはますます自分の非力さを思い知らされてしまいます。
ですから、わからないときは「わからない」、知らないときは「知らない」と大人も率直にいいましょう。そして子どもと「ああでもない、こうでもない」と一緒に悩んでほしいのです。いきなり正解にたどり着かなくてもいい。一緒に考え、失敗も含めたさまざまな経験を積み重ねたうえで正解にたどり着くことで、子どもは力をつけていきます。
さらにいうと、その事態の解決策を子どもはすでに"頭ではわかっている"なんて場合もたびたびあります。しかし、自信がもてずに実行できないだけだったりするのです。
一緒に悩んでくれる大人の存在。その存在そのものが、子ども自身が一歩踏み出すための、力と勇気を高めるのです。
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