子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾
vol.08 自分も子どもも大切にできるママになろう
たまには一人でおしゃれしてショッピングに行きたいのです。洋子ママはため息をつきます。でも子どもも小さいし、そんなことは夢のまた夢と半ばあきらめ顔の洋子ママへ、二つのたとえ話をいたします。
「一杯の長崎ちゃんぽん」
ある雪の日、二人の兄弟を連れた貧しそうな母がちゃんぽん屋に来て一杯のちゃんぽんを頼みました。やがてちゃんぽんが目の前に出てきましたが、母は食べようとせず、一杯のちゃんぽんを半分ずつ兄弟に分け与えました。
「私はいいから、あなたたちでお食べ」
実は母も空腹だったのですが、子どもたちに少しでも多く食べさせたくて、自分は手をつけなかったのです。
なんと感動的な話でしょう。
しかし、この話にはつづきがあります。こんな生活を1ヶ月つづけた結果、母は結局、餓死してしまいました。兄弟も食べ物を手に入れるすべを失い、結局三人とも死んでしまいましたとさ。
「一杯の長崎皿うどん」
同じように二人の兄弟を連れた貧しそうな母が、今度は一杯の皿うどんを注文しました。母は兄弟にいいました。
「ごらん、母さんはあなたたちの倍は大きいよね。だから二分の一はお母さんが食べるよ。子どもたちは四分の一ずつお食べ」
なんと心を打たない話でしょう。
しかし、この母は1ヶ月たっても、餓死することはありませんでした。その結果、兄弟もひもじくはあったけれど死にませんでしたとさ。
さあ、いかがですか?子どものことだけを大切にするお母さんは、感動を生んでも長もちしにくい。やはり長もちするのはバランスよく、自分も子どもも大切にできるお母さんです(母が全部食べて、子どもが餓死してしまうのは論外ですのでご注意を)。
さあ洋子ママ!イライラがたまりすぎないうちに、堂々とショッピングに行きましょう。子どもは友だち、実家、保育園の一時保育にでも預けちゃいましょう。そして、長崎びわゼリーと、ママのうきうきした笑顔をお土産に持って帰ってきてください。
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