心のSOS

子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾

vol.05 上手にグチをこぼすコツ

 子育ては思いどおりにならないことの連続です。よかれと思っていってるのに、いったこととまったく逆のことをする子ども。カリカリしてるところにパパが帰宅すれば、手のひらを返したようにパパのいうことは聞く。「何でパパのいうことは聞くのよ」といったら、パパまでが、「おまえのいい方が悪いんじゃないのか」という始末。

 こんなとき、何よりも大切なことは何か。それは、早急にグチをこぼすことです。

 グチのこぼし方には、いくつかコツがあります。一つ目のコツは、なるべく早めにグチることです。怒りはため込みすぎると、コントロール不能になります。何があってもじっと我慢をつづける映画のヒーローは最後、必ず大立ち回りを演じます。映画ならばかっこよくても、現実におこればそれは大惨事です。やっぱり「子育て大惨事」は、避けるに越したことはありません。

 二つ目のコツは、グチは陰口でなければならないということ。間違えても、グチの原因である子どもや夫に面と向かっていってはなりません。本人にいえば、それはグチではなく文句。反撃されて、逆にグチのもとがふえてしまいます。

 ですから、できれば近所のママと「秘密結社 夫と子どもの悪口自慢の会」をつくってください。そこで夫と子どもの陰口をバンバンいいながら、こっそり高級パフェでも食べれば元気も出ようというものです。

 陰口だけが本当の気持ちではありません。「母親をがんばってやりたい」のも本当の気持ち、「こんな家庭は捨てて羽ばたきたい」というのも本当の気持ちです。陰口をいうことで日ごろ押し殺している心の暗い部分に光を当てると、元気はふえるものなのです。

 残念ながらグチをこぼす相手がいない場合には、「王様の耳はロバの耳!」と穴に向かって叫んだ人のように、グチをブログに書き連ねてもそれなりに効果的。でも、できればグチのキャッチャーは探しつづけましょう。探せば必ず見つかります。いざとなれば保健所の子育て相談や、お昼のテレビワイドショーの人生相談に頼るのも手でしょう。

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