心のSOS

子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾

vol.06 「ほめ言葉」で自信を育てよう

 「子どもはほめて育てましょう」最近よく耳にする言葉です。しかしこれは簡単なようで実際には結構むずかしい。「中学生の長男は何をしてもパッとしないし、いったいどこをほめりゃいいのやら」というお母さんへ、ほめ方のコツを3つ提案します。

その1 結果ではなく過程をほめよう

 本人が努力していたならこの手が使えます。そもそも、努力したからといっていい結果が出るとは限りません。努力によっていい結果が出る確率を上げることはできますが、最終的には才能とか運にも左右されるのが結果というもの。ですから、結果だけをほめるのではなく、その過程に目を向けてほしいのです。

その2 「ただ、そこにあるもの」をほめよう

 ほめることにより育てたいのは、自分の存在そのものに対する「根拠のない自信」です。たとえば、「100点が取れるから私はすごい」という自信は「根拠つきの自信」ですが、この自信は100点が取れなくなったら消えてしまいます。つまり「根拠つきの自信」は、子どもが将来行き詰まったときの役には立たないのです。

 行き詰まったときに役立つのは「根拠のない自信」です。本人が努力によって獲得したわけではなく、ただもっているにすぎない部分をほめることは「根拠のない自信」を育てるのに有効です。たとえば男の子なら「このごろ肩幅ががっしりしてきたみたいね」「なんだかいい声よね」こんな調子です。

その3 「ないもの」をほめよう

 お世辞にもほめるところがないなら、「子どもがもっていないところを、あたかもあるかのようにほめる方法」をおすすめします。たとえば、「ちょっとした仕草に品があるよね」と真剣な面持ちでいってみるのです。本当はその子に品がなくてもいいのです。大人だって「よっ!社長!」とおだてられているうちに、どことなく社長の風格が出てくるというもの。

 つまり、「子どもがこんなふうになってくれたらいい」と思うことをほめつづけてみることで、知らず知らずのうちに子どもがその気になることもあるということなのです。

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