子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾
vol.01 「マイナス49点」の子育てでいい
不登校や少年犯罪の話題がマスコミで取り上げられ「子どもへのかかわりを見つめ直しましょう」という声が高まるたびに「もっともっとよい子育てをしなければ」と子育てのレベルアップに明け暮れるまじめなお母さんは少なくありません。
でも、子育てのレベルアップは結構難しいものです。よかれと思ったことがまったく裏目に出ることもありますし、そもそも、子どもの気持ちもいまいちわかりません。もっと子どもの相手をする時間を取りたくても、家事や仕事、別の子の世話が忙しくて無理なことも多いですし、さらにやったことを「それで正解だよ」と保証してくれる人もいません。
まじめなお母さんはますます心配になってイライラしてきます。そしてうまくいかなかったことばかり気になって、眉間にしわをよせた不安な顔を子どもに向けてしまいます。そうなると、子育てのレベルアップをしていたつもりが結局はレベルダウンになってしまいます。
そんなまじめなお母さんに提案です。
「子育てに100点満点を求める必要はない、51点で十分だ」と考えてみませんか。マイナス49点はあっていいと考えるのです。
実はこれは子どもにとってもよい影響を与えます。成長につれて子どもは「駄目なところがある自分」に気がついて不安になります。そんなときにマイナスを許せずに落ち込んでいるお母さんを見ていると、子どもも駄目なところのある自分を受け入れきれず苦しくなります。しかしマイナスが49点あっても「それでよし」と元気にしているお母さんを見ていると、子ども自身も「駄目なところがある自分だけど、それでも元気でいていいんだな」と感じるのです。
子育てに失敗はつきものです。失敗のない子育てなどどこにもありません。失敗をしてしまうと「私って駄目な母ね」と考えがちですが「駄目なこと」を反省できるお母さんはとても「素敵なお母さん」ではないでしょうか。
「まったく母ちゃん駄目だなあ。ちゃんとしろよ」と伸び伸びと子どもがいえる関係を作りたいものですね。
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