子育て疲れ”解消のヒント 精神科医・宮田 雄吾
vol.03 上手にサボれるママになろう
「とにかく子どもには手をかけなきゃ」と固く心に誓い、子育て修行僧のように禁欲的な生活に明け暮れ、疲れきっているお母さんにときに出会います。
洋子ママは、「紙オムツはだめ、布オムツじゃなきゃ」と固く信じ、頑張っています。だけどもうヘトヘトです。だって、夜、赤ちゃんは、オシッコするたびに泣き叫ぶし、梅雨空のもとでは洗濯したオムツも乾かないのですから……。洋子ママは寝不足で疲れ果てて、泣いた赤ちゃんを怒鳴りつけてしまうようになりました。
布オムツと紙オムツのどちらがいいのか本当のところはよくわかりません。まあ、一長一短でしょう。でも洋子ママのケースでは、黙って紙オムツに変えて楽をしたほうが、トータルではいいようです。睡眠不足も解消し、梅雨も明けて心に余裕が戻ったら布オムツに戻してもいいのでしょう。
共稼ぎの彩香ママは、「子どもには、絶対に手作りの料理を食べさせなくては!」と考えています。仕事で疲れた顔のまま、料理にも妥協を許さず、一心に手のこんだ愛情料理を作りつづけるママ。こんな姿を見つづけるなかで、子どもは「決して息を抜いてはいけないんだ」と感じ、世の中への安全感を得ることができなくなっていました。
愛情たっぷりの手作り料理は、もちろんいいものです。けれどお母さんが疲れている日は、インスタント食品の助けを借りるのもよいのではないでしょうか。札幌のみそや塩、東京のしょうゆ、博多のとんこつ……ずらりと種類を並べて、「魅惑のカップラーメン味紀行」にでも子どもをいざなってはいかがでしょう。
「今日はママ、サボっちゃうもんね」と、たまには子どもと一緒にカップラーメンをすするのも、なんだか楽しくて、「心の栄養」になるような気がしませんか。
子どもを大切にするあまりに、自分を酷使しすぎないようにしましょう。「頑張る自分」と「楽をする自分」をバランスよく保っておかないと、子育てという長距離走を完走することは困難だからです。上手にサボれるお母さんの姿は子どもに取り入れられ、子どもの心の安定にもよいと思うのです。
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