心が軽くなる子育てご相談 精神科医・宮田 雄吾
vol.10 離婚による子どもへの影響が心配
「結婚当初より夫の優柔不断な性格に違和感を抱いていました。子どもができれば変わるかも……の願いもむなしく、夫婦仲は冷め、真剣に離婚を考えています。就職先を見つけて私が娘(4歳)を育てていくつもりです。しかし娘は夫にもなついており、離婚が与える娘への影響が心配です。どのように対応すればよいでしょうか?」
子どもの力を信じて新たな生活の構築を
平成18年、日本における離婚件数は約25万7475件で、離婚率(人口千対)は2.04。2分2秒に一組が離婚しています。そのなかで子どもがいる夫婦の割合は58.3%であり、平成18年だけでも親が離婚した未成年の子どもは25万4982人発生しています。「子どもへの影響はあるかないか」と問われればそれは「ある」。きっと寂しい思いをする瞬間もあるでしょうし、経済的にも我慢しなきゃならない状況も予想されます。
でも離婚しないほうがベターかといえば、それも疑問です。離婚したほうがよい場合はたくさんあります。だってお互い目も合わさず、たまに口を開けばけんかばかりの父と母の間で「子はかすがいにならなきゃ」とけなげに頑張りつづけなければならないほうが、子どもにとっては、はるかに苦しいことなのですから。
「子どもは一人親だときちんと育たない」というのは、子どもの力を信じていないひどい嘘。一人親の子だろうが孤児であろうが、一緒に生きる大人が自分の人生を自らの意思で選び取り、そのなかに楽しみを見つけて生きていると感じることができれば、子どもはきちんと育つのです。ですから離婚すると決断したならば(きっとくよくよするけれど)、この決断は正解と決めて、今後の生活の構築に取り組みましょう。
子どもに伝える際の注意点は二つ。
一つ目は、「離婚するのは子どものせいではない」ということです。子どもはたいてい、「自分に問題があるから離婚するんだ」と勘違いします。ですから「あなたはとてもいい子で今回のことに責任はない。夫婦の責任なのだ」と真摯に伝えるのです。
二つ目は、「あなたのことはこれからも一生懸命に面倒をみる」ということ。「自分も同じように、いつか捨てられるのでは」と勘違いして不安を抱える子どもは多いのです。
ついでにいうと、「再婚はしない」という約束は決してしないことです。生きていくなかで、恋に落ちることがあるのは自然なことなのだから。ちなみに平成18年の結婚に占める再婚(一方または両方が再婚)の割合は25.9%。つまり結婚の4件に1件は今や再婚なのですよ。
参考資料/「平成18年人口動態統計の年間推計」(厚生労働省)
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