心のSOS

心が軽くなる子育てご相談 精神科医・宮田 雄吾

vol.02 子どもが家でゲームばかり…

相談

 「小学校3年の息子は、家でゲームばかりしています。世間ではゲームの悪影響もいわれていますし、私としては、もっと外で遊んでほしいと思っているのですが…」

今は「仮想現実」を渡り歩く能力も必要

 子どもがおこした事件がニュースになったとき、大人は不安になります。「うちの子は大丈夫だろうか?」そこで始まるのが原因探し。原因がわかるとちょっとホッとできるから。
 そんななかでしばしばスケープゴートにされるのが、大人自身は子ども時代に遊んだ経験がない遊び。そしてゲームはその代表です。
 なにせ大人は、今のゲームを知りません。自分が知らないことに子どもが夢中になっているのを見ると不安になるものだから、ついついゲームは「悪い」といい、大人がよく知っている遊びだと「よい」といってしまいがちなのです。
 その昔、「ビートルズを聴くと不良になる」「漫画を読むと頭が悪くなる」といわれていた時代もあったようですが、今やビートルズは音楽の教科書に載り、日本の漫画は一つの知的文化(知的でないものもありますが)として海外から注目されるまでになりました。
 産業構造は、一次産業から三次産業へと変化しました。それとともに、大人の社会も、自然とつき合う能力以上にパソコンや情報を使いこなして仮想現実を渡り歩く能力が、昔に比べて格段に必要とされるようになりました。
 ですから、今のこどもたちは野山を走り回り、干潟で泥まみれになって遊んでばかりではダメ。ちゃんと子どものうちからゲームで遊び、情報社会を渡り歩く能力を高めておかなければならないのです。
かといって、いつもゲームばっかりでは心配でしょうから、ヒントを3つほどお伝えします。

1. 子どもは一番楽しいことをしたい生き物。
2. 楽しいことをしていると元気になる。
3. 子どもは熱しやすいけど、飽きっぽい。

 今、子どもはゲームが一番楽しいのです。学校でいやなことがあっても、ゲームをしているとちょっと元気になる。なのに「やめなさい」とばかりいわれると、なんだか意地悪されている気がしてよけいイライラして、結局ゲームがもっとしたくなるのです。目が悪くなるなんてとっくに知っているけれど、実感ないし。
 要するに「外遊びがゲームより楽しそう」と思えるような工夫をしようということ。そうすればゲームに飽きたころ、外に出かけたくなるかもしれません。

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