心が軽くなる子育てご相談 精神科医・宮田 雄吾
vol.03 うちの子がいじめの加害者に!?
「小学3年の息子のことで相談します。息子の同級生のお母さんから、息子がしばしばクラスの子をこづいているようだと聞かされました。自分の子がいじめの加害者になっているのでは、と心配しています」
気持ちを十分に聞き、「謝る」決断を支援する
「うちの子がほかの子をいじめるなんて、まさかそんなはずはない。そもそもいじめをする子は、親が十分に愛情を注がないなど、育て方に問題のある子に決まっている」そう信じこんでいるお母さんは、結構多いと思います。さて、実際はどうなのでしょう。
ここで、国立教育政策研究所の滝充先生が発表された興味深い研究結果を示します。
「7分の1の子どもだけが3年間の間に1度も誰かをいじめたことがなく、反対に半分以上の子どもは年に1回の加害体験がある」
つまり、学校でのいじめのほとんどはいわゆる「普通の」子どもによって行われているという事実が示されたのです。やはりわが子も、ときにはいじめていると考えたほうが現実的です。
さて、では「わが子が誰かをいじめているようだ」となったとき、どう対応すればいいのか、その手順を1~5に示します。
1. 最初に事実関係の確認
現場を目撃した人から情報を集めます。可能なら、いじめられた子にも聞きます。極力、証拠固めをしてからわが子には当たろうというわけです。
2. 子どもの気持ちを十分に聞く
次に、わが子に、そのときの状況と、なぜそのような意地悪をしたくなったのかという気持ちを十分に聞きます。このとき、「ムカつくことをいわれた」「面白半分だった」などいろいろな気持ちが出てきますが、その気持ち自体は原則として否定せず、「そうなんだ」と十分に聞きます。
3. 問題点を指摘する
そのうえで、その気持ちの解決方法が、「いじめ」と評価されるやり方になってしまったという問題点を指摘します。
4. 解決法の話し合い
そして、「今後はいじめ以外の方法で、その気持ちをどう処理すればいいか」という点を話し合います。
5. 謝罪する決断を支援
最後に、今回、いじめと評価される行動をとってしまったことについての後始末をどうするかを考え、「相手に謝る」という決断を支援します。
子どもの成長過程において、人との関係のとり方を失敗することは、残念ながら避けられません。子どもは、いじめという形で表れたその失敗を振り返るなかで、少しずつ成長していくものなのです。
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