心理療法(精神分析的心理療法)のご案内
カウンセリング、心理療法のニーズは昨今、増えてきています。人のこころは過去から現在までの様々な体験の中で、気づかないうちに凝り固まり、制限を受けるようになり、それが強くなると人は不全感を感じながら生きていくことになります。精神分析的心理療法は、これまで制限されてきた、その人らしく生きていく力が十分に発揮できるようになる心の変化をめざす心理療法です。
精神分析的心理療法ではリラックスした状態で患者さんに心に自由に思い浮かぶことをなるべくそのまま話していただく自由連想というやり方で面接を進めていきます。治療者はそれを聴き、感じたことや治療者の中に生じた理解をお伝えし、患者さんの心について患者さんとともに考えていきます。そうした作業をする中で患者さんは面接室で実に様々な心の体験をし、自分自身についての新たな理解や心の在りようの本質的な変化がもたらされていきます。
こうした心の変化は、面接を十分に重ねていく中で、植物の成長のように自身のペースでゆっくりと現れて来ます。そのため治療は週1回以上の頻度で通常1年以上にわたって続きます。こうして時間をかけて得られた心の変化や成長は治療後も続く力強い変化となり得るのです。
一般に精神分析的心理療法は精神的な症状がはっきりと出ている方から、そうでない方まで幅広く対象となります。これまでご説明したような心の変化を目指すワークに関心があり、ゆっくり時間をかけて取り組んでいくモチベーションがあれば多く方にとって精神分析的心理療法は有効である可能性があります。ただ中にはこの心理療法が不向きの方もいらっしゃいますし、症状が強くてタイミングとして今はこうした心理療法を控えておいたほうがいい方もいらっしゃいます。そうした適応については治療を始める前にアセスメント面接を数回行い、治療者のほうで判断させていただきます。
注1)当院では宮田善文医師が外来で精神分析的心理療法を行います。入院中は原則的に行いません。週1-2回の頻度、1回50分で行います。費用は保険診療の費用に加え、毎回、別途予約料(税込み5400円)がかかります。ご希望の方はまず一度、外来で面接をさせていただきアセスメント面接及び治療に入っていくか話し合って決めていきます。
注2)精神分析はオーストリアの神経科医S.フロイト(1856-1939)が創始した心理療法で、現在の大半の心理療法は何らかの形で精神分析の影響を受けており、最も歴史がある本格的な心理療法といえます。人の心には自分ではなかなか気づけない無意識の部分がありますが、精神分析は無意識の部分も含めた全体として心をとらえていくことを大きな特徴とします。精神分析は週4回以上の頻度で行われますが、精神分析的心理療法は精神分析と方法は同じで回数を減らした心理療法です。